由美との最後の帰り道・・・俺達はたくさん話をした。

そして、家が近付くと突然由美が話を始めた。
「あのね・・・あたしね・・・付き合う前に素直になるって言ったよね?」
「ああ。」
今日は最後だから・・・優しい口調で返事をした。


「でも全然なれなかったな。いつも加藤くんは遠くを見てたから。あたしなんか見てなかったんだよね。それで焦って・・・無理やりキスさせたり、手繋がせたり・・・その時は嬉しくてたまんなかったんだけど・・・後でふと思うの。こんなことしても意味ないんだって。好きにさせるなんて言っちゃったけど、ほんとは傍にいるだけでよかったの。奈々先生には・・・謝らなきゃね。邪魔してごめんね。1週間ほんとに楽しかった。ありがと。」

そう言うと、俺の言葉も聞かずに走って家に入っていった。



なんだか・・・あっけない終わり方だったな・・・。


俺はそう思いながら窓からこっちをこっそり見ている由美に手を振った。
由美はビックリしていたが、すぐに微笑んだ。



そんなに・・・俺のこと好きだったんだな・・・。
なんだか罪悪感に駆られた。




ただ・・・好きなだけなのに・・・
方法を間違えるとこんなにも相手を苦しめる・・・
それを教えてくれたよ・・・
こちらこそありがとう・・・だな・・



俺は由美に背を向け、振り返ることなく帰っていった。