「あたしね、入学したときからずーっと加藤くんのこと好きだったんだよ。ずっと見てた。それで・・・ずっと付き合いたいって思ってたけど・・・話しかける勇気もなくて・・・。」

そこまで言うと前田は俺の方に向き直った。

「それで、ある日加藤くんのクラスの人達とケンカしちゃって、思わず口に出して言っちゃったの。加藤くんと付き合ってるって。でも嘘だなんて言い出せなくて、この機会に積極的になってみようって思ったの。」




「今までずっと自分の気持ち表現できなくて・・・だからもう素直になることに決めたの。自分に嘘つくのはもうこりごりだから!」
そう言うと前田は笑ってみせた。


俺と似てるな・・・自分の気持ちを表現できないなんて・・・・。


俺はこの時初めてちゃんと前田の顔を見た。
今までずっと目をそらしてきてたから。



正面から見た前田は、ロングの髪の毛を巻いていて、くりくりした瞳は茶色くて、まるでお嬢様のような印象を持たせた。

こいつ・・・こんな可愛いかったんだな・・・・。


俺は真っ直ぐ前田の瞳を見て話を聞いていた。