「奈々先生泣いてたぞー？」
「嘘だろ。あいつがこんなことで泣くわけねーよ。」

口ではそう言いながらも内心俺は焦っていた。



やっべー・・・ちょっと意地悪しすぎたかなー・・・。



本当は俺だってもっと一緒にいて、そばにいたかった。触れたかった。
でも・・・もう１人の俺が邪魔をする。



「なんで素直になれないんだよー。」
武が呆れて言った。
「別に。これが俺の素直な気持ちだし。」
「それが素直じゃないんだよ。」


ふん・・・武に何がわかるってんだよ・・・。


武はいつだって彼女や好きな人ができたらその人に真っ直ぐに気持ちを伝えていた。
それに、ちゃんと大切にして相手のことを考えて・・・・
顔はそこそこだが理想的な彼氏像そのものだ。




だから俺はうらやましかったのかもしれない。