白緑蝶"vacances【続2】

「えっ

 ああ、うん
 
 もうすぐ来るよ」

「そう・・・」

「おう、マスミ君
 
 今日は、一段と紳士だね」

瀬名さんの言葉に続くのは咲。

「うん、ほんとかっこいいよ

 ねえ、ヒワ?」

紳士的な装い

貴公子、王子様・・・

タキシード姿の真澄は、私に
えっへん、そうだろうって顔
をしてみせた。

「ほらっ、ヒワ
 
 おまえも褒めてみろよ」

「いつものスーツと
 あんまり変わんないね」

愛想なく答える私の頬っぺた
を真澄は抓る。

「ちょっ、痛い・・・」

本当はね、似合ってるよとか
かっこいいだとか言葉をかけて
真澄のこと、褒めてあげたかっ
た。

だけど、式の前に真澄を煽てる
と彼は調子に乗って大事な場面
でミスをしたり、いいことはな
い。

だから、あえてここは
こういう感じで・・・

「バァカ、よく見ろよ」

真澄は、私に微笑みかける。