白緑蝶"vacances【続2】

店内の盛り上がる声が扉の外
まで聞こえてくる。

「やってるねぇ」

「入りますか?」

「入りましょ」

愉快で楽しげな様子に、微笑み
ながらドアを開くと

カランカラン

いつものように、呼び鈴の音が
する。

私は今も、この音を聞くと胸が
少しだけざわめきだす。

そう、今はもう開かれることは
なく例え開いたとしてもカラン
カランと鳴ることのない一階の
扉・・・

「ヒワ

 黒猫と二人きり?

 なんだ、旦那はどうした?」

「えっ・・・」

私は、目の前に立つ男性に瞳を
奪われて言葉を詰まらせた。

「何、どうした?」

私に問いかける、真澄。

-HAPPY WEDDING-

その当事者で今日の主役である
真澄は、本当、もう

めちゃくちゃかっこいい。

その一言につきる感じ。

「ヒワ、ソラは?」