「ひわ、こっちこっち」

私を手招く百枝は、バルコニー
に出て風に当たっていた。

「日差し、少し強いね」

「そうだね、帽子買った方が
 いいね」

「夕食に出かけた時
 どこかに売ってるといいね
 
 探してみよう」

「うん」

「ねえ、ねえ、ママ
 うみにいこうよ」

私の足元にまとわりつき、洋服
を引っ張るのは、ゆら。

「ダメよ
 海は明日にしましょう」

「やだ、いきたい」

「ゆらちゃん
 
 今日は、泳げないけど
 海の近くまで行ってみる?」
 
「うん、いってみる」

「ちょっとだけ行きますか」

部屋に戻るとソラは眠っていて
私は鞄だけを持ってゆっくりと
扉を閉めた。

海に見に行くと言う私達の想い
にテオさんはもちろん、湊さん
と奥さんも賛同する。