白緑蝶"vacances【続2】

「マスミ、ここからは背を屈め
 て歩いて演奏を中断させちゃ
 いけない」

「ああ」

足元にまとわりつくドレスの
スカートを腰元で少しだけ持ち
上げて、今はステージになり人
で溢れているフロアを私は足早
に歩き入り口へと向う。

背を屈め、人の群れに隠れ貴方
に気づかれないように、貴方の
邪魔しないように私は歩く。

入り口までたどり着くとソラの
歌声がパタリと止み聞こえなく
なった。

「(演奏)終わったの?」

「みたいだな・・・

 どうする、帰るのやめる?」

「ううん
 
 何だか疲れちゃった
 
 帰りたい」

真澄の手をぎゅっと握り締めて
屋敷から出て行こうとした私の
背に届く声がある。

「帰んの?

 何、今度は
 マスミに抱きつくの?」