「志津ちゃん、里親に出されたっきり、全く顔を出さないものだから・・・。
皆、心配してたのよ。さぁ、入って!」
おばさんは、その柔らかい笑顔のまま、私を園の中に入れようとする。
「あ・・・・・」
遠慮しようと思ったけど、おばさんの目は潤んでいて、とてもそんな事が言える雰囲気ではなかったので、口をつぐんだ。
罪悪感が芽生え始めた。
だって、私はそのおばさんのことを、“初対面”だって思ったから。
「その制服は・・・・南内女学院?あのお嬢様学校!志津ちゃん頭良かったものねぇ」
「いえ・・・・・・」
しまった。
学校帰りとは言え、こんな目立つ制服着てくるんじゃなかった。
園内は、以外にも静かだった。
もっと、うるさいイメージだったのに。
「志津ちゃん、何か飲む?」
「あ。いえ、お構いなく・・・・」
「昔から遠慮がちなところは変わって無いわねぇ」
園の中は広くて、“孤児園”だと言うのに、子供は見当たらなかった。

