きずくと時計は7時45分を指していた。

9時までに学校に行かなきゃならない。


家から学校まではバスと電車で一時間くらい。


ヤバい!

15分でご飯食べなきゃじゃん!


急いで制服に着替え、一階のリビングに降りた。


リビングのテーブルには朝食が並んでいて、お父さんが先にご飯を食べていた。



「あれ、お母さんは?」

いつもならキッチンにいるお母さんの姿が見当たらなかった。


「佐恵子なら部屋で入学式に着ていくスーツ悩んでるよ。グレーがいいか、白がいいかってな。まったく、主役は結愛なのにな。困っちゃうよ」


「そっか。お母さんらしいじゃん」


すると、お父さんは突然目を見開いた。


「制服、着てたんだなぁ。似合ってるよ。お前も大人になったな」

「なによ~!急に。恥ずかしいからやめて」


本当は嬉しかった。

お父さんに似合ってるって言って貰えて。




私も成長したんだ。


今日こうして入学式を迎えられるのはお父さんとお母さんのおかげだよ。



ありがとう。



「ほら、時間まずいだろ。早く食べちゃいなさい」