ザーザーと雨が降っていた。
いつものように私と香世は色違いの傘をさして二人並んで歩いてた。
今日の学校での出来事とか、最近流行りの有名人の話とか他愛もない話をしながら。

そんな私たちの幸せの時間。
その間に割り込んできた一台の車。
その車が・・・
香世を・・・
私の光を奪って行った。

騒がしいサイレンの音。
最初は訳がなんだか分からなかった。
そっと目を開けてみると・・・
そこには地獄のような光景が広がっていた。

香世が・・・
血だらけで横たわっていた。
あの可愛らしいピンクの唇が、青紫になっていた。
あの大きな、今にも閉ざされようとしていた。

救急隊員が香世を運んでいった。
その時に聞こえてしまった。
聴きたくもない、残酷な真実を。

「もう、この子は助からないな。」

そんな・・・
そんなはずがない。
さっきまで・・・さっきまで一緒に笑って話してたじゃない。
おいしいって評判のあのカフェに、二人で行こうって約束したじゃない。
なんで・・・。
なんで、いっちゃうの?
置いていかないでよ。
私、香世がいないと生きて・・・いけないよ。


数時間後

私は父、母と共に香世の運ばれた病院にいた。