【短篇】君ともっと。

咲は一瞬肩を上げ、俺の胸で俯いたままこくりと頷いた。


「俺のこと…欲しいの?」


「…っウチに…せる…気っ…?」


-ウチに言わせる気?-

うん。そういう気。


だって、言ったでしょ?

咲が言うまでって。


だから、咲の口から聞かなくちゃ意味ないんだ。

咲は、まだ顔を上げてくれない。


「言ってよ。俺は、咲が欲しい。」


咲を抱きしめ、耳元で囁く。


「…しぃ…。」


「え??」


「ほ……」


「ほ??」


恥ずかしそうに顔を隠して、俺の制服を握り締めて、咲は言う。


「十馬が…ほ…欲しい…。」


咲は、小さな声で言った。


それによって俺の顔が緩んでいくのがわかる。


心臓が、苦しい位に動いているのがわかる。


「…じゃあ…、しても…いい…??」


「…へっ?」


咲は真っ赤にして顔を上げた。