【短篇】君ともっと。

「ごめん。ホントに…。咲を傷つけて…。待ってやれなくて…。む…無理矢理…ごめん。」


どんな言葉を言えばいいのか。


言葉を紡ぐには、あまりにも頼りなさすぎる唇。

この唇が咲を傷つけた。

俺が、泣くべきじゃないのはわかっているけれど右目から…、左目から…、次々と涙は落ちる。


俺、格好悪い…。


「…ごめん。ホントに…。でも…。怯えないで…。」


咲は、顔を上げた。


「…な…なんで…泣くんや…?…ウチが…拒んだ…から…か??」


「違う…。」


「ほな…、なんで…泣くんや…??」


咲は鼻声で言う。


「…咲を…傷つけて、もう二度と…俺を見て…もらえない気がして…。怖くて。」


俺の都合だらけ。


咲の気持ちより、俺の都合。


なんて最低なんだろう、と思っていても咲に笑いかけてもらえないことだけは…怖いんだ…。