【短篇】君ともっと。

俺は咲に腹を蹴られて、我にかえった。


目の前で。


俺の前で。


咲の制服が乱れ、泣いている。


「…っ…っ…えっ…。」

「…咲、ゴメン…。さっき…謝ったばっかなのに…。」


「…なんで…??」


咲が小さな声で言う。


「なんで…十馬、変わってしもたん??
なんで、待ってくれへんの??」


咲は乱れた制服をそのままに、ただ泣きながら俺に訴える。


「…好きやけど…、したくないわけちゃうけど…、十馬は…、なんか…、誰かと競うみたいに…焦ってて…っ。」


………………。


「…ごめん…。」


謝るしかなかった。


俺のせいで傷つけてしまった咲をどう扱えばいいのか…。


なんでこんなことになっちまったんだろな…。