コトバナ屋~お求めの言葉は何ですか?~


「おねーさん、カンナの割には

 芝桜みたいだね」

うつむいて動けなくなった私に、

コトハちゃんの言葉がするりと入ってくる。

顔を上げると、

ごそごそとポケットを探りながら

こちらを見つめる緑の目と合った。

「おねーさんの名前、カンナでしょ?

 カンナはね、真夏の日差しにも負けない

 強さと華やかさを持っている

 “情熱”の花なんだよ?

 芝桜のような小さな花みたいに

 “臆病な心”でいたら、

 名前負けしちゃう」

初めて自分の名前の意味を知った私に、

彼女はスッと手を差し出した。

思わず手を出すと、

丸い何かがころりと転がる。

「あなたの気持ちを形にする種だよ。

 それに、今の気持ちを一杯注いでみて」

戸惑いながらも、

言われた通りに気持ちを込めてみる。

すると、

コトハちゃんは被っていた帽子を脱いで、

そこに種を入れるよう言ってきた。

種を入れると、

どこからか取り出した銀色の

小瓶の中身を注いで、

小さく息を吹きかける。


すると・・・・