センチメンタルブルー

さて、申し遅れたが私の名前は山田さとみ。
この地味な姓名が巡り巡っていい感じになってきた。

最近はいろんな名前の子が多いから、逆にこのくらいが新鮮なのだ。

ほとんど電車に乗らない私は、渋谷はおろか新宿など一年に一度行くか行かないか。
三軒茶屋と、そこからも歩いて行ける下北沢をブラブラと散歩する。
職場は花屋で働いている。場所はもちろん…三軒茶屋。

この花屋さんが個人経営のよくある商店街のお花屋さんで、ご主人の哲夫さんとその奥さんの好美さんがいい方なのだ。

花の知識のかけらもなかった私を快くアルバイトに迎え入れてくれてから2年。
いつの間にか花の名前もたくさん覚え、アレンジメントもさせていただけるようになった。

もちろんちゃんと専門学校を卒業した正社員の宮沢さんもいる。
宮沢さんもこれまた素敵な女性で、和気あいあいと働かせてもらっているのだ。

こんな平々凡々なフリーター生活の私の人生に
ささやかだけど、甘酸っぱくてとろけてしまいそうなほど幸福で切ない夏を届けてくれたのは、夜空くんだった。