センチメンタルブルー

火曜日ということもあってか、店はさほど混んでいなかった。
もちろん外に座り、ビールと串焼きを適当に頼んだ。

「じゃあ、とりあえず乾杯」

重いジョッキを二人で交わす。
喉のくる炭酸とビールの苦味。うまい!

「月本さん、今日は来てくれて本当にありがとうございます」

「いえいえ、こちらこそ。誘ってくれて本当にありがとうございます」

「月本さんっておいくつなんですか?」

「俺?25歳だよ」

「え?じゃあ私と同い年だ」

二人とも同年代ということを知り、お互い敬語はやめようということになった。
敬語がとれただけで、少し堅苦しさもなくなった。

「月本さん、お花は喜んでもらえた?」

そういうと、月本さんはニッコリ笑って

「喜んでくれたと思うよ」と言ってビールで喉を潤した。

「思う」ってなんだか違和感だなあと思い、それを質問しようとした時

「あのね、月本さん じゃなくていいよ。夜空って呼んで」

そう言ってまた微笑む。

「いいの?じゃあ、今からは夜空くんって呼ぶね。なんかかわいい響きだね、夜空くんて」

「ニックネームがつけづらいよね。高校の時はゾラって呼ばれたりしてたけど、なんだかしっくりこなかったな」

「ゾラ?ゲームのキャラクターみたい」

「夜空って名前でも充分それっぽいよね」

先程も書いたけど、本当に初めて会ったとは思えないほど、夜空くんとの会話はいい意味で楽だった。
会話がすんなり進む。変な堅苦しさもない。

「じゃあおれも、さとみちゃんって呼んでいい?」

「もちろん。呼び捨てでもかまわないよ」

「ちゃん付けのほうがかわいいから、さとみちゃん。あ、生おかわりふたつー」

頼んでいないのに私のも一緒に注文してくれた。

「ねえ、夜空くんってなんで携帯持たないの?」