センチメンタルブルー

「あ!いらっしゃいませ。ちょうど出来上がったところです。いかがですか?」

自信ある感じでアレンジを見せると、月本さんの頬が緩んだ。

「うわぁ、ほんとに綺麗。こんなに豪華になるとも思いませんでした」

「お母様も喜んでくれるといいですね」

想像以上に月本さんは喜んでくれた。その笑顔を見るとなぜだろう、癒されるような、胸の真ん中がきゅっとなるような。

「ほんとにありがとうございました。またお願いします」

「あ、月本さん!」

「?」

「今晩、暇じゃありませんか?」



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15時に仕事が終わり、一度独り暮らしのアパートに戻ってきた。

私は、なぜあんな言葉を発してしまったのか。
普段私は積極的なタイプではないし、恋愛なんて引っ込み思案もいいところ。

恋せよ乙女なんて言葉が聞いて呆れるほど、恋なんて無縁な人間だった。


その私が、私が。まさかまさか。お客様に。