ええ~!?
やっぱり、社長もどこか軽い~。
「いいだろ?兄貴」
社長命令じゃ、あたしは聞かざる得ないもん…。
それは専務も同じなのか、
「別に構わないよ」
とアッサリ言ったのだった。
「じゃあ決まりだ。行こう美月さん」
「は、はい…」
“後はよろしくな”と、隣のオジサマ重役たちに言うと、和久社長は立ち上がり、あたしを庭先へと案内したのだった。
「キレイでしょ?この庭。もう少し先まで歩けるから」
「は、はい…」
緊張する足取りで、和久社長の後をついて歩く。
他の部屋からも庭先には出られるけれど、どこも障子を閉めていた。
あたしたちだけじゃん!?
こんな場所を歩いてるのなんて…。
専務の弟だと思うと、必要以上に警戒してしまう。
数歩後ろを歩いていると、
「よし、ここならいいかな」
そう言って突然、和久社長は立ち止まったのだった。
何!?
何をするの!?
同じく立ち止まったあたしは、今日一番の警戒心で和久社長を見る。
すると、スーツの胸ポケットから一枚の封筒を取り出したのだった。
それは四角いもので、見てすぐに結婚式の招待状だと分かった。
「実家に届いていたんだ。兄貴宛てのものなんだけど、後でこっそりと美月さんから渡してくれないかな?」
「あたしから…ですか?」
なんで、わざわざあたしから?
拍子抜けしつつ、いまひとつ意味が理解出来ないまま、それを受け取ると和久社長が説明をした。
「結婚する女性はね、兄貴の半年前まで付き合っていた元恋人なんだ」

