う~ん…。
なんというか、やっぱり女性に軽そうな感じ?
その辺りが専務と同系だわ。
外見は、和久社長の方がかなり甘いルックスで、兄弟といっても、すごく似ている感じではない。
ただ、二重のキレイな目は専務と一緒だ。
そこは、父親である社長に二人とも似たに違いない。
専務が男ぽい外見なら、和久社長は少し中性的だ。
「へぇ~。兄貴にもオヤジみたいに、お気に入りの秘書サンが出来たんだね?」
さっそく専務にお酌をしながら、和久社長はそう言った。
「美月はそんなんじゃないよ」
冷たくあしらう専務に同調するかの様に、あたしはニッコリと笑顔を作る。
そう。
本当にそんなんじゃない。
どうやら社長は、絢が相当お気に入りで、接待には頻繁に同行させているらしい。
そういう意味で、和久社長は言ったのだろうけど…。
単に今のあたしが、一人で家に帰れないからだ。
指紋認証のあのマンションでは、専務がいないと部屋へ入れない。
だから今夜は、ホテルへ泊まろうとしたのだけれど、それは反対されてしまった。
それで仕方なく、接待に同行する事にしたのだった。
それにしても、専務は本当に自分勝手よね。
あたしに何の相談もなく、マンションを解約するなんて信じられない。

