あたしはただ、地味でもいいから仕事がしたかっただけなのに。
業務評価の時期に、それが認められるだけで満足だったのに…。
それなのに、毎日この“俺様”な専務と一緒の仕事なんて憂鬱過ぎる。
それなら今までみたいに、一人で淡々と仕事をしていた方がマシだわ。
残された二週間、あたしの気は憂鬱で、もう二度と専務の顔写真を見る事はなかった。
どうせ4月から毎日見る顔よ。
もうどうにもならないなら、割り切って仕事をしよう。
それでいい。
それに考え方次第では、これはとてもプラスになる経験よね。
そうよ。
あたしの“人生の履歴書”が華やぐ。
専務秘書という肩書の追加は…。
そう思えば、有り難い人事だったのよ。
うん。そうよ。そうなのよ…。

