案内された場所は、店内の端。
ワンフロアのこのお店は、メンズとレディースを取り扱っている。
あたしは、そのレディースコーナーに連れて行かれたのだった。
「どうですか?いろいろあるんですが…」
あたしの雰囲気を確認しながら、志帆さんは数点の靴を手に取っている。
どれもこれも、品があって今まで履いた事もない物ばかり。
ベージュに黒、深紅の靴などいろいろだ。
「あっ、志帆さん。仕事で使うから、ヒールの低いものにして」
それまでメンズコーナーにいた専務が、いつの間にか来ている。
こっちに来なくていいから、自分のを見てればいいのに。
「ああ、そうですね」
志帆さんは、チラッとあたしの足元に目を向けた。
口には出さないけど、やっぱり気付くよね…?
折れたヒールを、たちまちくっつけてみたけど不自然だったかな。
「じゃあ、これはどうですか?新作なんですよ」
志帆さんが両手で差し出してくれた靴は、ベージュのエナメル素材のパンプスだった。
ローヒールでシンプルだったけれど、ラウンドトゥになっている。
「お、それ可愛いじゃん。つま先が丸い形なんだな?」
「ええ。柔らかい美月さんのイメージにピッタリかなって」
「柔らかい!?」
思わず叫んだあたしに、二人は同時に目を向ける。
“堅そう”の勘違いじゃないの…?

