付き合っていても、楽しいとかまた会いたいとか、そんな感情が沸かなかったのよね。
将来の夢だったり、これからどんな勉強をしたいかだったり、そういう話ばかりをしていた気がする。
それはそれで、明るく賑やかな場所に溶け込む事が下手なあたしには、居心地がいいと思っていたのに。
違っていたのか、それが本当のあたしなのか、いまいち分からないままだ。
「なんだ。やっぱり彼氏はいたか」
「なんだって何ですか?」
口を尖らせたあたしに、専務はまたチラッと視線を向けて言った。
「堅そうに見えるけど、やっぱりそれは違うんだなぁと思ったんだよ」
「え?意味が分からないんですけど…」
“堅そうに見える”は納得だけど、違ったってどういう意味よ?
「好きなヤツがいたんだなぁって事。オレ、恋愛出来るヤツは信用するから」
「は、はぁ…」
ますます意味が分からない。
それに、一体何を信用するというのよ。
そんな噛み合わない会話をしている内に、車はとあるお店に着いた。
メインストリートに、目立つ様に建っているそのお店は、誰もが知っている海外ブランドのお店。
「ほら美月。行こう」
呆然と表看板を見上げるあたしの手を取り、専務はお店の中へと入って行ったのだった。

