「未来の社長夫人…?」
という事は、章人と結婚するんだ…。
予想していた事とはいえ、さすがに動揺をしてしまう。
「まだ、兄貴に未練がある?」
「え?」
突然の質問に、あたしは体が固まるのが分かった。
何で、そんな事を聞いてくるのよ。
「未練も何も、自分から離れたんですから…」
「そう?オレには、美月さんが、メチャメチャ動揺している様にしか見えないけど?」
「そんな…。気のせいですよ」
今さら、未練があるなんて言えるわけない。
だいたい、未練どころか、本当は今でも好きなんだから…。
「ふぅん…。それならいいけど。あ、ねえ。美月さんも行こう!蒼衣さんの結婚式」
「えっ!?」
ちょっと、それはいくらなんでもマズイというか、あたしには最高に最悪なお誘いですけど?
「あ、あたしが行っても迷惑ですから…」
「そんな事はないよ。蒼衣さんは会いたがってるのに、誰も美月さんと連絡が取れないんだもんなぁ」
だから、その意味を悟ってってば!
「ですけど…」
やんわり断ろうとしても、和久社長は強引に約束を取り付けた。
「決まり!一緒に行こう!蒼衣さんには言っておくから」
ええ~!?
本気で迷惑なのに…。
困って黙ったあたしに、和久社長は何を気にする事なく言った。
「兄貴ね、元気で頑張ってるよ」
章人の話題に、一瞬、心が明るくなる。
「見ました。雑誌のインタビューを。あれに書いてあった大切な女性って、やっぱり蒼衣さんの事だったんですね?」
そう言うと、和久社長はただ黙って笑顔を向けた。
「じゃあ、美月さん。また会おうね」
手を振ると、和久社長は車に乗り込み、軽くクラクションを鳴らして走って行ったのだった。

