絢が…?
その友情に胸が熱くなった時、章人は和久社長に近寄った。
眉間にシワを寄せ、睨みつけている。
そんな章人に和久社長は圧倒されたのか、一歩だけ足を引いた。
「一条もオレも、それにオヤジも、お前の考えてる事なんてお見通しなんだよ」
「な、何でなんだよ…」
顔を赤らめた和久社長に、今度は社長が言った。
「本当に情けない。お前たちの不仲には気づいていたが、それに目をつむっていた私にも責任はある」
「オヤジ…」
これにはさすがの章人も堪えた様で、バツが悪そうに目を伏せた。
「とにかく、佐倉さんが言っていた事は正しい。本当にすまなかったね」
「い、いえ…。あたしも、失礼な事を言いました」
鬼畜兄弟だの、誰に似たのかだの、失礼極まりない言葉を連発しちゃったんだから。
だけど、社長は優しい笑みを浮かべただけで、
「さあ、戻ろう」
と、和久社長の背中を軽く叩き促した。
「美月、オレたちも帰ろうか?」
「う、うん…」
差し出された手を重ね合わせて、あたしたちはタクシーでマンションへと戻ったのだった。

