「な、なんなんだよお前…」
和久社長はあたしを見上げ、言葉を失っている。
「誰に似たのかしらね?残念だけど、お二人はれっきとした兄弟です」
思い切り軽蔑の意味を込めて言った時、部屋のドアが開いた。
「すまないね佐倉さん。二人の責任は、私にあると思うよ」
ゆっくりと、申し訳なさそうに入ってきたのは…、
「しゃ、社長!?」
間違いなく社長だった。
そして隣には、ア然とした顔で立つ章人がいる。
「オヤジ、兄貴!?」
青ざめる和久社長に、社長は早足で近付き平手打ちをした。
「お前は何て事をしたんだ!」
殴られた頬に手を当て、和久社長は恨めしそうな顔をしたまま黙り込む。
「オレが、助ける必要はなかったな」
「あ、章人…」
二人がここにいる事にホッとするよりも、会話を聞かれたかもしれない不安の方が大きい。
けっこう、マズイ事を言ったと思う…。
「いつからいたの?」
怖ず怖ず聞くあたしに、章人は少し不満そうに言った。
「かなり最初から。本当に危なくなったら、助けようと思ってたけどな」
じゃあ、すべての会話を聞かれていたって事!?
「佐倉さん。あなたには、改めてお詫びをする。お前たち二人にも、話さないといけない事があるからな」
社長の言葉に、章人と和久社長は怪訝な顔をしたけれど、二人とも何も聞かなかった。
そして、章人はあたしに目を向けた。
「一条にはお礼を言っておくから」
「え?絢…?」
「そう。怪しいと思った一条が、オレとオヤジにお前たちが会う事を教えてくれたから」

