どうしてここに!?
というか、いつから!?
「お前、もしかして秘書の佐倉美月?」
とんでもない姿を見られてしまい、呆然と立ち尽くすあたしに、専務はそれ以上気に留める様子もなく聞いてきた。
「は、はい…。佐倉美月です。今日からよろしくお願いします」
「やっぱりそうか。へぇ~、お前がねぇ」
あたしの頭の先から足の先まで、ゆっくりと視線が落ちていく。
なんだか、品定めされているみたいでイヤなんですけど…。
「あ、あの…」
声をかけると、専務はあたしの足元を見て言ったのだった。
「お前、靴履き替えた方がいいよ。それじゃ、歩けないだろ?」
「えっ?靴ですか…?」
思わぬ忠告に、戸惑うあたし。
だって、これは一番“あたしらしい”スタイルなのに…。
「オレの仕事は、外をまわる事が多いんだよ。お前にも同行してもらうから、そんなヒールの靴だと足を痛めるぞ?」
それだけ言うと、歩幅を大きく部屋に向かう。
「ちょ、ちょっと待ってください!あたし、仕事に向きそうな靴ってハイヒールしかないんです」

