「理事長の事は置いといてさぁ」

遊里が話を進める。

「その『狼と花売り少女』ってどんな話ぃ?」

「えっとねぇ…」

パラパラと本のページを捲るかおる。

…遊里は不思議と、かおると話している時は大人しい。

かおるのホンワカほにゃほにゃオーラでハイテンションぶりが緩和されるのだろうか。

唯一彼女のクラスが静かになる瞬間でもある。

「『狼と花売り少女』っていうのは、おとぎ話なの。作者は知らないんだけどね」

かおるは遊里に粗筋を聞かせる。