天神学園高等部の奇怪な面々23

人外の世界とは広いようでいて狭いのか。

雪ん子の佐伯の一族と、鴉丸の一族は数百年前に遭遇した事がある。

その当時は鴉天狗らしく、空を縄張りとする高位の妖怪だった鴉丸の一族。

ある日、人間との混血である雪女にチョッカイを出していた。

雪女でありながら、吹雪のひとつも満足に操れない小娘。

人外の世界は力こそ全て。

そのような半人前の雪女など落ちこぼれでしかなく、若き鴉丸の鴉天狗は責め嬲る。

が、少々浅はかだった。

程なくして現れたのは、その半人前の雪女の母親。

彼女は凍りついた表情に見ては取れぬ怒りを湛え、鴉天狗に氷の刃を振るう。

命を取られぬだけ、運は良かったのかもしれない。

だが、鴉丸の若者は『戦慄』と『屈辱』という名の呪いを受けた。

その頭頂部の毛髪を、氷の刃で禿げ散らかされた事で。