土埃を上げて、地面に落下した二人。

「お、おい、遊里…平気か?」

腕の中の遊里を見る鷹雅。

「うん、全然平気♪もうっ、幾ら私の事好きだからっていきなりハグしちゃ駄目だよぉ♪」

何を言ってるのかこのアホは。

まぁこのすっ呆けぶりならば心配はないだろう。

鷹雅の方も、流石鴉天狗、掠り傷程度で済んだようだ。

しかし、落下時にかなりの衝撃音がしたのか。

「だっ、大丈夫ですかぁっ?」

白い着物を着た愛らしい少女が、騒ぎを聞きつけてパタパタと駆け寄ってくる。

その瞬間。

「……!」

この国の多くの人外に畏怖される大妖・鴉天狗たる鷹雅が、言い知れぬ戦慄を覚えた。

…主に頭に。