そそくさと逃げる無口少女と入れ替わるようにして歩いてきたのは、ロシア娘。

「こっ、これはっ!アオッパナが止まらない!僕は恋という名の鼻風邪をこじらせてしまったのか!寒い寒い永久凍土の地から来た君に抱き締められなければ、僕は…」

渾身の台詞の途中だというのに。

「はい」

クールにポケットティッシュだけを渡して通り過ぎるロシア娘。

流石、ナンパ慣れしているのか、あしらい方も堂に入っている。