紅い血-Red blood-



「やっと起きてくださいましたか」


感情の籠っていない声がわたくしに届く。



「此処は何処ですの?」



こんな部屋、わたくしは知らない。



あたりを見渡す限り、目に映るのはどれも高級そうな家具ばかり。



ふと、視界の端に映ったわたくしが寝かされていない方のベッドを見てとても重要なことを思い出した。



マリア様だ。



マリア様がいない。


もう一つのベッドに寝かされているのはマリア様だろうか。



「ここは我が主、蓮様の屋敷です。
山の中で偶然意識を失っているあなた方を見つけたので、お連れしました」




.....蓮?




まあ、今はこの屋敷の主よりマリア様だ。



「マリア様は?」



「もう一人の少女ならそちらのベッドに」



そうメイドが言った瞬間にわたくしは耐え切れなくなり、マリア様の所に駆け寄った。



背後でメイドが出ていく気配がしたが、それらも気にせずマリア様の寝顔を眺めた。



マリア様....。



マリア様は安心したように深い眠りについていた。


わたくしは絶対にこの安眠を守り抜くと、心に誓った。