鎖~kusari~

緊張のあまり熟睡できず、日の出前には完全に起きてしまった。
時間に余裕をもち家を出た。
地図を見ながら歩いていたのに完全に迷ってしまった。
開店の準備をしているおばちゃんに聞いてみる事にした。

「あぁ、一ノ瀬桜花さんね~その先を…」

おばちゃんは親切に分かりやすい地図をくれた。少しばかりおばちゃんと立ち話しをしてしまった。
一ノ瀬桜花学園はとても有名な学校で、生徒や職員に一ノ瀬家の者が何人か在籍している。
名前の通り、一ノ瀬家が所有する物らしい。
おばちゃんの立ち話しを切りの良いところで終わらせ、足早に学校へと向かう。


「ここが一ノ瀬桜花学園……」

私の目の前にある学校は、まるでお城のような建物だった。
しかし、きちんとグラウンドもあり学校である事は確かだ。
私は応接室で待機するように事務の方に言われた。
しばらくして、声が掛かった。
いよいよ理事長室へと招かれる。

「失礼します……」

一般的な理事長室に比べて、少しばかり豪華な造りの部屋。
中にはスーツを着た2人の男性がいた。