鎖~kusari~

けたたましい携帯のアラームに私は飛び起きた。


最近よく見る夢。

生暖かい空間に私は佇んでいて、招待のハッキリしない誰かと話していた。

「夢……だよね?」

簡単に朝ご飯を済ませ、身支度をして学校へと向かう。


私は雲雀えりか。
文系の大学に通っているごく普通の学生。


「ねぇ、えりか!教育実習先決まった?」

学校に着くなりまだ実習先の決まっていない私を心配して、友達が話かけてきてくれた。

「…それが…まだ。いくつか電話したんだけど、どこも拒否された…」

ふと、昨日の夜。親からかかってきた電話を思い出した。
内容は娘の将来についてだ。
母は現役の高校教師で、国語を教えている。
クラスも持っていて、ベテランと呼ばれても過言ではない。
娘の私も立派な母の姿を見ていたから一応、同じ教師の道も考えていた。
母としても、自分の娘が同じ道を歩んでくれることに誇りを感じているのではないか……

いや、母は違った。

自分と同じ道は歩まないで欲しいと言っている。