まさに有言実行。俺と言う名の不審者を突き飛ばし、回し蹴りしてきた繭は、か弱い少女とは程遠い、まさに漢…だった。



でも、これが本当の繭だというなら、この蹴りごと受けてたとうじゃないか!



「……ハッ!悠生くん!悠生くん!」



起き上がることはもちろん無理。薄れる意識の中、必死に俺の名を呼ぶ繭の腕を掴んだ俺は、そのまま俺の胸にダイブする繭をぎゅうぎゅうと抱き締めた。



「悠生、くん?」



「繭、大好き。」



「えっ!」



瞬間、ニコッと笑えば、みるみるうちに赤くなる繭。



「可愛い。マジ大好き、まーゆ。」



「なっ!」



瞬間、チュッとオデコにキスを落とせば、周りからワァーっと声が上がった。



……でも、もう無理。



ガラッとドアの開く音と同時に、ドスの利いた声。そして恭一の叫び声。



そこで意識がプツンと途切れてしまった俺は、繭を抱き締めたまま、深い眠りについた…。





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