ん?今のって繭、だよな?



なんか…うん。意外と…。いやでも、繭だし…。



ちっちゃくて、可愛くて、痴漢にも狙われちゃうぐらいか弱い繭だし…キャー!怖い!とか可愛らしく言うことはあったとしても、そんな男らしいわけ…。



「まっ、でも本当に居たらいつもみたいに退治してくれるんでしょ?まーゆ!」



「えー。」



「華麗な回し蹴り、最近見てないもんねー!」



「だって封印中だもん。」



「でも今は悠生くん見てないもんねー?」



「ねー?」



「うんうん!見てない、見てない!」



「あー…じゃあ、ちょっとだけ封印解除しちゃおっかなっ!」



「「「キャァァァー!!」」」



でも現実は残酷だ。



瞬間、シュッという風を斬る音の後、黄色い声に満更でもなさそうに笑う繭の声。



マジかよ…。



ポカンを通り越して、ボーゼンとしてしまった俺は、狭いロッカーの中、なぜか呑気にケータイを弄る恭一に、力なくもたれ掛かった。