確かに俺は、繭に会いたかった。



実際、会うためにここに来た。



会って話して、俺の何がいけなかったのか訊いて、謝って、再び繭の理想の彼氏になるべく努力するつもりだった。



が、俺のラブ神様は悪戯が大好物だったらしく、忍び込んだ教室はまさかの繭のクラス。



オマケに掃除ロッカーの向こうには、会いたくて会いたくて堪らなかった恋人がただ今お着替え中。



もちろん出て行くことなんて出来るはずもない俺は、息を潜め、外で繰り広げられる会話に耳をすませている、というわけだ。