くり出された剣撃を、ラグナードは余裕たっぷりの動きでかいくぐり、男のあごに肘を食らわせる。
一発で男はのびて床に転がった。
続けて飛びかかってきた男の腕をひねり上げて剣を奪い、首筋に柄をたたきこんで昏倒させる。
突きかかってきた男の剣をよけざま、足を引っかけて他の客のテーブルにつっこませ、
予想外の展開に剣をふり上げたまま動きが止まる男の喉もとへと、奪った剣の切っ先を突きつけた。
一分の隙もない動きだった。
おお! と観戦する野次馬から感嘆の声が上がる。
「傭兵にしては、まるで剣の使い方がなってないな」
ラグナードはフッと笑いをもらして突きつけていた剣をひき、刃を水平にかまえた。
「俺が稽古をつけてやる、かかってこい」
カッとなった男が大振りの一撃を加えてくる。
相手は明らかに体格で上回る大男だったが、ラグナードはそれをよけようともせず、手にした剣で真っ向から受けてはじいた。
「この──!」
己より非力に見えた美青年に剣を受け止められ、大男は両手で剣を持ち直し──
続けて渾身の力を込めて振り下ろした二撃目は真横にはらわれた。
ラグナードはそのまま剣をからめて、男の手から剣をはじき飛ばす。
ぼうぜんとなる男の鼻面を籠手で覆われた拳で殴りつけ、体勢を崩したところで別のテーブルに蹴り飛ばした。
並ぶ料理をめちゃめちゃにした男には、先ほど別のテーブルにつっこませた男と同様、激怒した他の客にボコボコにされる運命が待っていた。
ラグナードが剣を投げ捨てたところで、
ぽかんと勝負を見守っていたキリは我に返った。
ラグナードの背後のテーブルの上に立って、彼の背に向かって剣を振り上げる最後の一人の姿があった。
「うしろ!」
キリの声でラグナードが後ろを仰ぎ、
男がラグナードの肩口を斬り下ろしながら、テーブルから飛び降りようとして、
テーブルが消滅した。
男の足の下で、
頑強な石造りのテーブルが霧のごとく消えてなくなった。
突如として支えを失った男が剣を振りかぶったまま落下して、床とキスをした。
両手で顔を覆って床の上をごろごろと転げ回り、悶絶する男の頭上で、
ランプをつるしていた鎖が消え、落ちてきたランプが男の後頭部を直撃して砕け散った。
とどめを刺された男は、ぱったりとつっぷしたまま動かなくなった。
一発で男はのびて床に転がった。
続けて飛びかかってきた男の腕をひねり上げて剣を奪い、首筋に柄をたたきこんで昏倒させる。
突きかかってきた男の剣をよけざま、足を引っかけて他の客のテーブルにつっこませ、
予想外の展開に剣をふり上げたまま動きが止まる男の喉もとへと、奪った剣の切っ先を突きつけた。
一分の隙もない動きだった。
おお! と観戦する野次馬から感嘆の声が上がる。
「傭兵にしては、まるで剣の使い方がなってないな」
ラグナードはフッと笑いをもらして突きつけていた剣をひき、刃を水平にかまえた。
「俺が稽古をつけてやる、かかってこい」
カッとなった男が大振りの一撃を加えてくる。
相手は明らかに体格で上回る大男だったが、ラグナードはそれをよけようともせず、手にした剣で真っ向から受けてはじいた。
「この──!」
己より非力に見えた美青年に剣を受け止められ、大男は両手で剣を持ち直し──
続けて渾身の力を込めて振り下ろした二撃目は真横にはらわれた。
ラグナードはそのまま剣をからめて、男の手から剣をはじき飛ばす。
ぼうぜんとなる男の鼻面を籠手で覆われた拳で殴りつけ、体勢を崩したところで別のテーブルに蹴り飛ばした。
並ぶ料理をめちゃめちゃにした男には、先ほど別のテーブルにつっこませた男と同様、激怒した他の客にボコボコにされる運命が待っていた。
ラグナードが剣を投げ捨てたところで、
ぽかんと勝負を見守っていたキリは我に返った。
ラグナードの背後のテーブルの上に立って、彼の背に向かって剣を振り上げる最後の一人の姿があった。
「うしろ!」
キリの声でラグナードが後ろを仰ぎ、
男がラグナードの肩口を斬り下ろしながら、テーブルから飛び降りようとして、
テーブルが消滅した。
男の足の下で、
頑強な石造りのテーブルが霧のごとく消えてなくなった。
突如として支えを失った男が剣を振りかぶったまま落下して、床とキスをした。
両手で顔を覆って床の上をごろごろと転げ回り、悶絶する男の頭上で、
ランプをつるしていた鎖が消え、落ちてきたランプが男の後頭部を直撃して砕け散った。
とどめを刺された男は、ぱったりとつっぷしたまま動かなくなった。



