『それが、どうした』
キリの話を聞いていたラグナードは、憎しみのにじんだ目で竜をにらみ上げた。
『この竜をこの地に撃ち落とした何者かがいることはわかった。
だが、だからと言って、この国の数え切れない民を殺したこのドラゴンをこのまま見逃すことはできない!』
『待ってよ!』
ふたたび燃え立つ炎の刃を振り下ろそうとするラグナードに向かって、キリは必死に言った。
『この天の人も、利用されたってことになるんだよ!?』
そういうことになる。
『その魔法使いが、この国の人間が殺されるように仕向けたってことだよ』
『──っ』
『この場所に魔法で撃ち落とされなければ、天の人だって誰も殺さなかったんだから!
この国がこんな目に遭ってるのを見て、裏で笑ってる誰かがいるんだよ』
ラグナードは奥歯をかみしめた。
パイロープを凍りつかせた黒幕がいる。
天空のドラゴンすらも、まんまと利用して。
ならば、このドラゴンをしとめても、国民を殺した張本人を討ったことにはならない。
『この我が、地の人ごときに利用されただと……!』
ドラゴンは悔しそうにうめいた。
『おのれ……おのれ……』
ガチガチと牙を打ち鳴らして屈辱にふるえるドラゴンをじっと見上げて、
『ラグナード、この人を助けてもいい?』
と、キリは言った。
『な──』
『誇りを傷つけられたまま死んじゃうなんて、かわいそうだよ』
ラグナードは唇をかんだ。
彼の手の中には今、ドラゴンをも滅ぼせる武器がある。
ドラゴンが傷を負い弱って地に伏せているこのチャンスを──
パイロープを凍りつかせ、三百の兵を殺した化け物に復讐するチャンスを──
──みすみす無駄にして、この生き物を逃がすのか。
自問し、ラグナードはレーヴァンテインを今一度振り上げた。
『ラグナード!』
キリが叫ぶ。
半年もかかったのだ、とラグナードは剣を握りしめる。
世界中を飛び回って、ようやくここまでこぎ着けたというのに!
ここでドラゴンを見逃せば、彼の半年間は何のためだったのだろう──。
キリの話を聞いていたラグナードは、憎しみのにじんだ目で竜をにらみ上げた。
『この竜をこの地に撃ち落とした何者かがいることはわかった。
だが、だからと言って、この国の数え切れない民を殺したこのドラゴンをこのまま見逃すことはできない!』
『待ってよ!』
ふたたび燃え立つ炎の刃を振り下ろそうとするラグナードに向かって、キリは必死に言った。
『この天の人も、利用されたってことになるんだよ!?』
そういうことになる。
『その魔法使いが、この国の人間が殺されるように仕向けたってことだよ』
『──っ』
『この場所に魔法で撃ち落とされなければ、天の人だって誰も殺さなかったんだから!
この国がこんな目に遭ってるのを見て、裏で笑ってる誰かがいるんだよ』
ラグナードは奥歯をかみしめた。
パイロープを凍りつかせた黒幕がいる。
天空のドラゴンすらも、まんまと利用して。
ならば、このドラゴンをしとめても、国民を殺した張本人を討ったことにはならない。
『この我が、地の人ごときに利用されただと……!』
ドラゴンは悔しそうにうめいた。
『おのれ……おのれ……』
ガチガチと牙を打ち鳴らして屈辱にふるえるドラゴンをじっと見上げて、
『ラグナード、この人を助けてもいい?』
と、キリは言った。
『な──』
『誇りを傷つけられたまま死んじゃうなんて、かわいそうだよ』
ラグナードは唇をかんだ。
彼の手の中には今、ドラゴンをも滅ぼせる武器がある。
ドラゴンが傷を負い弱って地に伏せているこのチャンスを──
パイロープを凍りつかせ、三百の兵を殺した化け物に復讐するチャンスを──
──みすみす無駄にして、この生き物を逃がすのか。
自問し、ラグナードはレーヴァンテインを今一度振り上げた。
『ラグナード!』
キリが叫ぶ。
半年もかかったのだ、とラグナードは剣を握りしめる。
世界中を飛び回って、ようやくここまでこぎ着けたというのに!
ここでドラゴンを見逃せば、彼の半年間は何のためだったのだろう──。



