「じゃぁ、今すぐにじゃなくて。そーだ。夏の大会」 「ぇー?」 「夏のー・・・。3年にとって最後の大会あるだろ。その時もっかぃ来るから。 その時に返事。聞かせてー?」 先輩は、あれほど強く抱きしめていたのが嘘のように、あっさりとあたしを離した。 「じゃぁ。帰る。またな」 先輩はニコっと爽やかに笑った。 まるで、5月の風みたい。 甘く優しく。あたしの身体を包むように吹く5月の風。