病室に入ると、樹は身震いした。


――寒い


一気に温度が下がったような気がする。


それは多分無機質な機械の音のせいだろう。


今回の対象に近づいてみれば身体中からのびている管に思わず目を見張る。


「痛ぇよな……。俺も痛ぇよ」


聞こえているはずもないのに、傷だらけの彼に樹は話し掛けていた。


「安藤にあんな顔させたいけじゃないんだよ……」


どれだけつぶやいたって彼には聞こえないし、安藤には届かない。


「……はは、馬鹿みてぇ」


自分のしていることがすごく恥ずかしく思えてきて、樹は気持ちを入れ替えた。



「今すぐ楽にしてやるからな……」





樹は彼の体に手をかざし始めた。


すると手をかざしたところから明らかに傷が治っている。


「……っ」


彼の傷をなおすために使っているのは自分の生命力。


傷がひどければ酷い程、樹ね命は削られていく。


それを知っているのは樹本人と連だけ。