カチカチカチカチ
書庫の時計の秒針の音が響く。
もうずいぶん書庫は綺麗に片付いている。
時間はもう午後の四時。
ずいぶん前に樹が部屋に帰るために階段を昇る音が聞こえた。
樹はやっぱりあたしを最後まで呼ばなかった。
何をしたのか分からなかった。
家族、友達。
あたしには無縁だった言葉達。
人との距離感の取り方のわからないあたしは、知らないうちに樹を傷つけていたのではないか。
樹に嫌われているんじゃないか。
そんなことばかりが頭の中をぐるぐると回る。
「……言ってくれなきゃわかんないよ」
小さく囁いた言葉はきっと樹には届かない。