次の日、あたしはどうしたらいいのかわからない気まずさに、困惑し、誉められたクッキーを朝から作っていた。


あのお姉さんは。


あの牡丹は。



あたしのクッキーごときで何か変化するとは思えないけれど、あたしは少しでも気持ちの整理はつくと思う。



樹によるとお姉さんはまた昼ごろに来るらしい。


どうせあたしに治療の様子は見せてくれないだろうけど。




あのお姉さんが来てから、樹の治療中に、たしが顔を出すことはほとんど無くなっていた。





樹があたしのことを呼ばなくなったから。


“安藤!”


あの能天気な声は書庫にいるあたしには届かない。


届けてもいない。





あきらかにおかしい、何かが起こっている。


それはあたしでもわかるのに、どうしても聞けない。




そしてまたお姉さんがやってきた―――