泳いだ目を見て、あたしは確信した。
“何か隠してる”
そしてそれを蓮も知っている。
「……そっか」
あたしは無理矢理笑って会話を終わらせることしかできなかった。
そしてその後、樹との空間に耐えられなくなった頃、同じように感じていたのか樹は部屋を出ていった。
あたしは内心ほっとした。
今は樹と一緒にいたくなかった。
あのまま一緒にいたらあたしは樹に酷い事を言ってしまいそうだった。
言えないことがあるのは当たり前なのに、あたしはそれが知りたくてたまらない。
明日はあの牡丹を背負ったお姉さんが来る日だ。
―――――――――――陰り