書庫を出たあたしは、二階にいるであろう樹聞こえるように大きな声で言った。


「散歩いってくるー!!」


「いってらっしゃーい」


あたしの声に負けないくらい大きな声で樹の返事が耳に届いた。


“いってらっしゃい”か。


初めて言われたかもしれない。


樹の言葉はいつもあたしの心を暖かくしてくれる。


「いってきます」


少し恥ずかしくてあたしは小さな声で言った。