「ありがとうございます」
そういって小さく微笑んだ彼女は第一印象の“綺麗”を塗り替えて、幼く見えた。
「失礼ですけど、いくつなんですか?」
「19です」
若い。
ってか歳近いんだ。
そんな雰囲気なんかまったくない。
濃い化粧をしているわけじゃないし、髪を染めているわけでもないのに、なぜか彼女は大人っぽくみえる。
「歳、近いです」
「そうなんですか……」
その時、あたしは息をするのを忘れた。
彼女が服を脱いだ時、背中にあったものをみたから。
「……気持ち悪い、ですよね」
苦しそうに、笑いながら言った彼女の心の痛みがあたしにはわかる。
いたいほどわかる。
「そんなことないです。白い肌に栄えてて綺麗ですよ」
本心だった。
彼女の背中には、大きな牡丹の花の入れ墨が一面に入っていた。
彼女が消したい傷は、このことだったんだ。
あたしはこの時初めて理解した。


