余計なことをした。
いつもそうだった。
母さんの誕生日にプレゼントをあげても怒られた。
『何に使うの?馬鹿じゃないの?いらないわよ』
そう言って五歳あたしが一生懸命作った肩たたき券はごみ箱へ。
もう余計なことはしないと決めたはずなのに、あたしは樹の優しさに甘えて余計なことをしてしまった。
「いいじゃん!何種類くらいできんの?」
「え?」
「は?」
あたしも驚いたけで、そんなあたしの反応に樹も驚いた。
「……怒られるかと、思った」
正直、怒鳴られるんじゃないかと、謝る準備をしていた。
ごめんなさい、ごめんなさい。もうしません。だから殴らないでください。
幼い頃の記憶があたしの体を支配していく。
「何で俺が安藤に怒るの?」
本当に不思議そうに樹は首を傾げた。
「それは……」
言ったって分からないよ。
そう思っているはずなのに、言葉が続かない。
言ってしまいたい、そう心が叫んでいる。
前を見れば樹が優しく微笑んでいる。
怪我をした小学生を見守っていたときのような目。


