嫌な予感しかしなかった書庫整理。
しかし樹が扉を開けた瞬間、あたしは息をするのを忘れた。
「嘘――……」
すごい量の本。
何畳あるのだろうか、あたしの乏しい感覚ではよく分からないが、学校の図書室よりははるかに大きい。
この店のどこにこんなスペースが、と疑いたくなるくらいだ。
「増えた本のせいで、天井ぶちぬいて、吹き抜けにしたから天井高いんだよな」
なるほど。
通りで天井高いわけだ。
やっとゆっくり部屋を見てみれば、やる気は一気に飛んでいった。
「なだれ……」
あちこちに広がるなだれたち。
積み上げては崩れ積み上げては崩れ……を繰り返した結果、この部屋の本棚はほとんど使われていない。
床に置いたまんま。
「まったく、迷惑なうちだな」
「安藤って思ったこと隠さないよな」
樹が申し訳なさそうにしている。
言いすぎたかな?
「安藤はそこら辺の掃除してくんない?本の前に部屋が汚い」
まだその段階か。
「俺らは本拭いてるから」
そっちの方が楽そうだ。