「樹、誰?客?」
あたしの驚きの原因を作った張本人、蓮と呼ばれた彼は、のんきにあたしの方を指差している。
「あー、違うような違わないような……。とにかく、昨日からここに住んでるからよろしく」
あたしが客ではないとしたらそれは多分料理人だ。いや、朝も起こしてるからメイドみたいなもんか?
「ふーん、ま、いいや」
自分で聞いたくせに蓮はどうでもよさそうだった。
「俺は蓮。樹の親友です」
「いつの間に親友になったんだよ」
「樹はいつもこんな感じなんだよ?君は?」
どうやら仲良しみたいだ。
「あたしは安藤佳奈です」
「佳奈ちゃんか。可愛いね」
「こいつ女大好きだから」
あー、そういう部類の人か。
「違うよー!仲良しになりたいだけだよ」
あんまりかわらない。
「お客さんが来るまでまだ時間あるし、さっさとやるか」
お客さんが来るまでまだ時間ある?
なんでそんなことわかるんだ?
「安藤、お前本好きか?」
薬師、樹はあたしに聞いた。
その質問にあたしは頷いた。
「だったら手伝え」
何をだよ。


