出したのはいいが、置場所がない。
一通りのものは揃っているけど、これらのものは冷蔵庫が置場所だったため、出してしまったら置場を失っている。
「……あ、やべ」
朝ご飯作るの忘れてた。
8時まではあと10分。
とりあえず冷蔵庫から卵を出して、ご飯があったのとあわせて、昨日の鍋のあまった出汁の中に入れて、火をかけた。
これなら数分でできる。
「よし」
出来上がったときに時計をみれば8時まではのこり五分。
急いで彼の部屋にむかった。
トントン
控えめにノックをしてみたが、返事はない。
ドアノブに手を掛ければ、開いた。
「うわぁーお」
ずさんな警備だ。
「お邪魔しまーす」
結構大きな声で叫んでやったが、部屋を入ったときに見えたベッドの盛り上がっている部分は一向に動く気配をみせない。
「しぶとい……」
あたしだったら人の気配で起きるのに。
誰かの気配にびくびくしながら寝てるのに。
「……起きろー」
布団ごと彼を揺すってみるが起きない。
「いらつく」
朝が弱いというのは本当らしい。


