薬師 ―君の傷―




「店閉めてくる」


そう言って彼は部屋から出ていった。


……つまり、この間に準備しておけというわけですね。





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「ふざけてんの?」


ついこぼしてしまった愚痴のようなもの。


冷蔵庫があったので開けてみてびっくり。


全部つっこんである。


塩も醤油も砂糖もフライ返しもおたまも、全部。


無いのは皿くらいか?


あぁ、あと鍋類。


あったら困るけどね。いや、もうすでに困っているが。




「何してんの?」


出たよ、大雑把の張本人が。


「なんでもかんでも冷蔵庫に入れればいいってもんじゃないんだけど」


「冷蔵庫に入れといて何か不都合が?」


「う……」


言われてみると、不都合があるのか?


いいのかと聞かれればよくはないが、悪いわけでもない。いや、そういう問題ではない。


「困った時の冷蔵庫」


どんだけ便利なんだよ。


「とにかく俺は鍋が食べたい」


「……はい」


冷蔵庫からあたしはいりそうなものを取り出した。


料理は得意だ。
洗濯も掃除も得意だ。


母さんがしないから。